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家族生活~LAST SCENE~

この小噺は、1996年から」1998年に不定期連載されていて、2009年にまとめ上げられたやまだないと先生の『家族生活』という漫画のラストシーンを4人の映画監督が考えたコーナーがございまして、「おっ私も書きたい!」と書き始めたのが始まり。
なので、漫画を読んでいない方は分からないだろうし、(というか、読んでいない人のほうが絶対に多い!これだけは言える)「こいつなに言ってんだ」的な作品に思われるかも。
どちらにしろ、書き上げたのでUPしちゃおうって。

家族生活~LAST SCENE~

私は、家出をした。
初めてのことだ。
私は子供のままでいなければいけなかった。
パパたちはベッドに染み付いた血を、一体どんな気持ちで見るのだろう。
初潮は14歳だった。
旅の途中。
私たちはまだ彷徨っていた。色々な事実に蓋をしながら寒くて生きにくい土地へ土地へと渡り歩き、ヒモのパパはまた風邪を引いた。
もう子供じゃない私はどこへでも行ける気がした。
(あ、血が出てくる感じがする…嫌だな)
けれど、きっと私が向かう先はやはり、寒い土地なんだろうと思う。耳がちぎれそうな風を感じながら、歩いて生きてゆく。
神社が見えた。
足を向けると、そこにはヒルマくんが轢いたあの時の猫とそっくりな猫がちょこんと座っていたので「おいで」と声をかけるとその猫は迷いもせず、私の横を通ってどこかへ行ってしまった。
サグラダファミリア、綺麗だった。
トシオはどうしてるかな。
ミハギちゃんのところには、一年前に訪れた。
ヒルマくんのことをミハギちゃんから聞いた。
私は泣いて、ミハギちゃんは泣かなかった。けれど、胸に彫ったヒルマくんの刺青をそっと撫でて愛おしそうに笑った。
パパたちは、私から逃げたいのだ。ずっとずっと前から。
子供じゃない私は、それを実行してここにいる。明け方から町を一回りして帰りついた先はやはり、パパたちのところだった。
たった一度きりの家出。
パパたちは何も言わなかった。そして、生理用品を手渡された。
旅の終わりを感じた。
私たちの旅の、終着駅。
パパたちとはきっと離ればなれになる。
哀しくて、私は少し泣いた。
大人になるって、こんなに哀しいことなの?
ヒモのパパに頼んだ。
「大人になった私を撮って」
パパは撮ってくれなかった。
でもパパ、永遠に子供でいるなんて無理なんだよ。
私が本当のパパを自分で殺したこと、知ってるよ。
それを騙せるほど、私は子供じゃないんだよ。
子供じゃなくなってしまったけれど、私はパパたちのこと、愛してる。
だから私はもう一度言った。
「パパ、三人で写真撮ろう」
これで私たちは永遠になれる。
家族という名の、永遠に。
その日、私はいつものようにパパたちの間に入り込んで二人のおちんちんを握ろうと手を伸ばして止めた。
私はもう子供じゃないんだった。
家族生活と言う終わりは、こうしてやってきた。
さようなら、大好きなパパ。
ヒナは明日、出発します。

END.

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因みに私のファイティングソングはGREENDAYの『HOLIDAY』です。
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